「あいつらをズタズタにしてやるか」

ニヤリと笑った刹那、ペルトの姿が屋根の上から消える。イヅナの心臓がドクンと鳴り、足は自然と少女たちの方へと向かう。

「死ね」

一瞬にして少女たちの元へ移動したペルトが懐からナイフを取り出し、少女たちに突き刺そうとする。イヅナは顔を真っ青にし、考えるよりも先に体を動かしていた。

「ダメ！！」

イヅナの肩に振り下ろされたナイフが突き刺さる。思わず体で攻撃を受け止めてしまったのだ。鋭い痛みがイヅナの体に走り、赤い血が流れていく。

「イヅナ！！」

「イヅナちゃん！！」

妖と戦っていたレオナードたちが声を上げる。イヅナは、「大丈夫……です……」と荒い息を吐きながら何とか答えた。

「フン。自身を盾にするなど、みっともない戦い方だな」

ペルトに睨まれるも、イヅナは少女たちの前に立ち続ける。そこへヴィンセントの放った弓が飛んできた。

「イヅナから離れろ！」

「イヅナに怪我させて、どうなるかわかってるよね？」

「あたしの大事な部下を傷付けるなんて、いい度胸してるなぁ」