苺とブルーベリーが使われたパルフェを食べながらイヅナがニコリと笑うと、ギルベルトとヴィンセントの頬が赤く染まる。二人はイヅナに想いを抱いているのだ。その様子を見て、レオナードがニヤニヤと笑う。

「イヅナ、こっちのシュークリームもおいしいよ。食べてみて」

「イヅナ、甘いものばっかりじゃバランス悪いでしょ?サンドイッチはどう?」

ギルベルトとヴィンセントがイヅナに声をかけ、静かに睨み合う。その時、四人がお茶会をしている中庭のドアが乱暴に開けられた。

「こんなところで随分楽しそうなことをしてるんだな?」

そう言い赤い瞳がギルベルトを睨む。イヅナたちの上司であるツヤ・シノノメだ。見た目は十代の少女なのだが、実は千年ほど生きている鬼である。その隣には、困ったような顔をした五百年ほど生きている吸血鬼のベラ・ゴドフリーが並んでいる。

「ギルベルトさんがご褒美にって言ってくれたんです!」

サンドイッチを頬張りながら、レオナードがモゴモゴ喋る。顔を顰めたツヤに「口にものを入れながら喋るな!」と叱られていた。

「ツヤ、そこまで怒らなくってもいいでしょ?最近イヅナたち、すごく頑張ってたんだし」

ギルベルトがそう言うと、ベラも「そうですよ!」と大きく頷く。

「イヅナちゃんたち、ここ数週間でまともなお休みってなかったと思います。今日くらいはゆっくりさせてあげてください」

「ベラさんいいこと言う〜!」

イヅナとレオナードがそう言うと、「調子に乗るな」とツヤに軽く頭を叩かれた。だが、ツヤの表情は先ほどとは違って優しいものに変わっている。