「あの女を捕まえて聞き出すしかねぇな。たっぷりお礼したいこともあるわけだし」

額に青筋を浮かべ、拳を握り締めながらツヤが言う。その時、街の様子を見ていたエイモンが「あれを見て!」とボロボロになった教会を指差す。イヅナたちがいる位置から、教会まではすぐ近くだ。

教会の屋根に、黒いマントを羽織って顔に大きな傷のついた不気味な雰囲気の男性が立っている。その男性は骨しかない鳥のような生き物を肩に乗せており、一目で逃げ惑う人々とは別の世界で生きている人だとわかる。だが、妖というわけではなさそうだ。

(何、この人?)

男性は視線に気付いたのか、イヅナたちの方にゆっくりと顔を向ける。そして、ニタリと不気味な笑顔を浮かべた。

「あの、あなたは誰ですか?この街のことを知っているんですか?」

ベラが訊ねると、男性は「私の名前はペルト」と言った後、黒い手袋をつけた手で顎を触りながら再度口を開く。

「知っているも何も、この街は私が壊した。こうしていくことで、私は世界を手に入れているのだ」

「お前が何者かは知らねぇが、味方ではなさそうだな」