二人は目立った外傷などはなく、すぐに体を起こす。そして破壊された街を見て驚いていた。

「何なんだよ、ここ!」

どこかの戦場かよ、とレオナードは慌てふためく。

「エマという人に連れ去られた?でも、その人はここにはいないよね」

ヴィンセントは冷静に状況を判断しようとする。ヴィンセントの言う通り、エマが「一緒に来てください」と言ったことが始まりだった。そして、彼女はここには何故かいない。

イヅナ、レオナード、ヴィンセントが話していると、他のアレス騎士団の人も次々と目を覚ましていく。

「ここは一体どこなんだろう……」

アレンがどこか不安げな顔を見せ、その隣でチターゼが「あんな女にやられるなんて……」と悔しげな顔で舌打ちをする。

「とりあえず、みんなが怪我一つないことが不幸中の幸いだね」

ギルベルトが一人一人の顔を見て言う。だが、誰もこの街は一体どこにある街なのか、あの女性は何者かのか、考えても答えは導き出すことはできない。