「お茶は緑茶でいい?ていうか、それしかないんだけどね」

「和マカロン食べれるなら、何でもいいよ〜」

颯の言葉に葉月が元気よく答え、颯は優しく微笑みながらドアノブを回す。そして、ドアを開けた瞬間に風音たちの目に映ったのは、降りてきた階段ではなく、褐色の肌にドレッドヘアのイカつい男性が立っていた。探検家を思わせる服装をしている。

「誰!?」

気配からして霊ではないことは確かだ。だが、不法侵入者であることには間違いない。風音たちは扇子を取り出し、警戒する。

「あっ、えっと、俺、怪しい者じゃないっす」

「いやいや、人様の家に無断で上がり込んでたら、十分怪しいでしょ」

颯が男性にツッコミつつ、名前を訊ねる。イカつい男性の名前はサミュエルと言うらしい。

「……どうやって、この屋敷に来たの?」

颯の目が鋭くなる。そう、ここは神の家だ。普通の人間には足を踏み入れることができない領域である。それなのに、サミュエルは平然とそこに立っている。普通ならばあり得ない。