同じような内容のアナウンスが、何度もくり返される。

「これって、魔物の呪いのせい……?」

 わたしがたずねると、咲也くんは真顔でうなずいた。

「そのようだよ。気配は消えてしまったから、もうだいじょうぶだと思うけど……」

 いつの間にか、咲也くんの魔眼から光は消えていた。

「最近は、魔物たちも大人しくしてたし、油断があったかもしれない。デートに浮かれて、こんな高いところに一千花センパイを……。ウカツだった。ごめん……」

 くちびるをかんで、拳を握りしめる咲也くんの顔に、後悔の色がにじんでいる。

「いいのよ、気にしないで。だって、デートなんだもん」

 わたしは咲也くんにほほ笑みかけたけれど、頭のなかにモヤがかかってくるのを感じていた。

 ――このせまいゴンドラのなかに閉じこめられてるんだ!

 もうひとりの自分が、頭のなかでさけんだ。

 ううん、風はおさまってるもの。

 もうすぐ運転は再開して、下に降りていくよ。だいじょうぶ。

 イヤなイメージが浮かんでは、それを必死に打ち消す。

 そんなことが数秒のあいだにくり返されて……。

 冷たい汗がふきだし、サーッと血の気が引いていくのがわかる。

 次第に、呼吸もあらくなって、手足がふるえてきた。

「一千花センパイ! だいじょうぶ!?」

 異変に気づいた咲也くんが、心配そうに、わたしの顔をのぞきこむ。