君は,君は。

「それで話って言うのが……」

「タンマ!」

「え…?」



私のストップに,目を丸くする梨々香。

えと,えーーーと。



「ほらっこんなところで話してたら聞かれちゃうかも? しれない…じゃん? ね? ね?」



いつかの瑞希みたいに。

押しが強すぎたのか,梨々香はちょっと引きぎみ。

だってほんとは,そんな理由じゃない。

梨々香のこと好きなら,瑞希が私達を見てるかもしれない。

そう思ったら,必死にもなるよ。



「じゃっじゃあ,隣で……」



隣って言うのは,空き教室のこと。
特別教室とも言う。

人気の場所と言えばそうだけど,朝は大概誰もいない。

私達は場所を移った。