君は,君は。

「まぁ,あれだ」

「? なに?」

「唯はさ,せっかくモテるんだから……その,笑ってる方が似合うよ」



プイッと顔をそらして,そんなことを言う瑞希。

多分,慰めようとしてくれた。

慣れてないだろうに。

私の頬は,分かっててもカッと赤くなる。

っていうか,私のこと好きな人がどうこうって,本気だったんだ。

瑞希も,ちょっとはいい女だって思ってくれてる? 恋愛じゃなくてもいいから。  

チラッと瑞希を見ると,まだ横を向いていた。

耳が少し赤い。

もう。慣れないことするから。

私は誰も見てないのに微笑んで,何かを誤魔化す。

私のためとか,普通だから。

泣いてたのが私じゃなくても,おんなじだから。

瑞希は,自分の言葉が恥ずかしいだけ。