君は,君は。

放課後,一緒にかえろだってさ。

全然ときめかない。

それを律儀に待っている私ってなに。

職員玄関前,1人たたずむ私。

何人もの友達に不思議がられながら,私はその一つ一つに曖昧に返す。



「悪い! 待たせた」



それでも急いできてくれたのだろう。

ゼハゼハと息を吐く瑞希にも,私は緩く微笑んだ。



「大丈夫」



答えて,歩き出す。

自転車の瑞希は,わざわざ自転車を引いて歩いてくれる。



「早速だけどさ」



来たっと身構える私。



「梨々香って好きなやついんのかな」



私をみてポリポリと頬をかく瑞希に,私はピシリと硬直した。

なんで分からなかったんだろう私。

梨々香に近い私だから。
最初に聞くならその質問だって。

私はその質問の答えを,持ってる。