君は,君は。

「もうバレちゃったからさ」



頭の中で,警鐘がなる。

今すぐ逃げろとガンガンなって,頭が痛い。



「女子目線ってことで,これから相談のってくれない?」



そんなの,他の仲いい女子に明かして,のってもらえばいいじゃん。

なんで私なの。

なにも,如何にも恋愛偏差値ゼロですみたいな女子に相談なんてしなくても……

嫌だよ。その気持ちは受け入れられても,聞きたくはないんだよ。

好きなんだよ,瑞希。

それを伝えるチャンスすら,私から奪わないでよ。

どうせ出来なかった事だとしても,意味が変わっちゃう。



「うん。分かっ…た」



息が詰まった。

だけど誰にも嫌われたくなくて,出来ることなら好きな人の役に立ちたくて。

絶対に後悔する,向こう見ずな返答をしてしまう。

最低な安請け合いだ,こんなのは。



「ほんと?! ありがと。ちょいちょい話しかけるかもだけど,いい?」

「うん,いいよ。ほらっ,早く鞄片付けなよ。持ったままじゃんっ」



時計を指し示せば,瑞希はやべっと言っていそいそと離れていく。