君は,君は。

「なに? 瑞希」

「あーごめん。なんか大事な話してた?」

「ううん。普通の話。それで?」

「えっと,その」



あぁ,そういうこと。

昨日の今日で,心配なんだ。

さっきの梨々香の表情,見えてないと良いな。



「大丈夫。梨々香にも,誰にも言ってないよ」



にっこり。
目は月の形。



「あ? うん。それは分かってる。唯そんなことしないだろ?」

「は…っ」



え,なんで? 瑞希私とそんなに仲良くないのに。

どうしてそんなこと言うの?

信頼してます,みたいな。

私の気持ちすら知らないのに。なんで。

だとしたら……



「じゃあ,なんで私を呼んだの?」



あ,だめ。
聞いたら,だめ。

顔をあげた私。

嫌な予感がする。

照れたみたいに笑う瑞希に,嫌な予感がする。