健の好奇心は完全に未来人へ向かっていて、それが危ないことかもしれないとは少しも考えていないみたいだ。


時々海斗が「殺されるかも」とか「誘拐されるかも」と言っても健は取り合わない。


仕方なく黙って健に付き合うことにした。


できれば今日はギフトが届きませんようにとの願いも虚しく、待ち始めて2時間ほど経過したとき、足跡が聞こえきた。


2人は目を見交わせて茂みの中から外の様子を確認する。


コツコツと聞こえてくるそれは革靴のようで、やがて茂みの狭い視界の中でも黒いスーツを着た男が玄関に近づいてくるのが見えた。


郵便配達員か。


海斗はまだ信じられない気持ちでそう考えたけれど、男の姿はどう見ても郵便配達員ではなかった。


黒スーツ革靴で配達している人なんてみたことがない。


男は玄関先で立ち止まると手に持っていたなにかを地面に置いた。


それは今まで海斗が何度も見てきた黒い箱で間違いがなかった。