暗黒ギフト1

大田がそう言って飯田くんに雑巾を押し付けたのだ。


『俺も』


飯田くんが返事をする前に秋田の雑巾まで押し付けられる。


『え、でもっ』


咄嗟に拒否しようとしたけれど、2人はさっさと隣の教室に戻っていってしまったのだ。


飯田くんは呆然としてしばらくその場を動くことができなかった。


どうしてこんなことをするんだろうと考えたとき、初めて会話した日のことを思い出した。


あの時飯田くんはちゃんと返事をすることができなかった。


それで2人は無視されたと勘違いしたんだ。


そうとわかれば今すぐ誤解を解かないと。


急いで隣のクラスヘ向かった飯田くんだったが、そこにはすでに2人の姿はなかったのだった。