暗黒ギフト1

1回でもこの2人に技を決められれば、恐ろしくて言うことを聞くようになるのも理解できる。


だけど今回はチャンスだった。


2人よりも強い健が飯田くんの味方になったのだ。


言いたいことがあるのなら、今のうちだ。


飯田くんはジリッと微かに前に出た。


座っている2人は何も言わずに飯田くんを見上げている。


「あ、あの、僕……」


しどろもどろに言いながら、今にも涙が溢れ出してしまいそうだ。


そんな飯田くんの肩を海斗がまたポンッと叩いた。


そこから勇気を貰ったかのように、飯田くんは一度きつく唇を引き結んだ。


いつまでもこのままでいいなんて思っていない。


変わらなきゃいけないということは飯田くん自身が一番思っていることだった。


勇気を出さなきゃ!


「僕は、2人のことが憧れだったんだ!」


その言葉は健にとっても海斗にとっても以外なものだった。