暗黒ギフト1

道場でもこうして投げられることは滅多になかったようで、大田も呆然としてしまっている。


「強いのは本当にお前らだけか?」


健が大田に向き直り、ボキボキと指を鳴らす。


大田は咄嗟に身構えた。


が、健のほうが一瞬動きが早かった。


背が低い分動きが早くて追いつけないのだ。


いとも簡単に大田の懐に入り込んだ健は、その体を投げ飛ばした。


さっきの秋田と同様にドッと土埃が上がって、呆然と空を見上げる大田。


2人は自分たちが負けるはずがないと思っていて、負けてしまった今は頭の中が真っ白になっているようだった。


「すごい!」


飯田くんが興奮した様子で呟く。


振り向くと顔を高揚させて口元に笑みを浮かべた飯田くんが、2人を見下ろしていた。


「ねぇ、これ写真撮っていいかな?」


言いながらキッズスマホを取り出す飯田くんに海斗は「え?」と聞き返す。


「ほら、僕散々こいつらに痛めつけられてきたんだよ。写真撮るくらいいいだろ?」


スマホ片手に2人に近づいていく飯田くんを健が止めた。


「そんなことのために2人を倒したんじゃねぇよ」


「え、でも、僕の復讐に手を貸してくれたんだろ?」