暗黒ギフト1

「さっきから調子乗ってんじゃねぇぞ!」


バカにされたと感じた健が不意に怒鳴った。


空気が震えてピリッとした雰囲気に変わる。


後ろにいる飯田くんが怯えているのが伝わってきた。


海斗は飯田くんの手を握って一緒に健の後ろへ下がった。


キレてしまった健は海斗でも手をつけられない。


無茶をしそうになったら止めるけれど、それまでは少し離れて見守るのが一番だ。


健は怒鳴ったと同時に秋田の前まで移動していた。


素早い動きに秋田は驚いて目を見開く。


健は間髪入れずに秋田の手を握り、更に秋田の足を引っ掛けていた。


大外刈りだ。


柔道をしていることで有名なのは大田と秋田の2人だったが、腕前があるのは健も同じだった。


2人とは違う道場に通っているから2人共油断したのだろう。


健の技はキレイに決まって秋田の体は簡単に倒されていた。


ドッと土埃を上げて倒れた秋田は、呆然と空を見上げている。