「なんだその箱」


真っ黒な箱に白い文字で海斗の名前だけが書かれている。


それはなんだか異様なものに見えて健は顔をしかめた。


「さぁ? 朝玄関先に置いてあったんだ」


試しに箱を揺らしてみるとカタカタと小さく音がした。


なにか入っているみたいだ。


「なんだよそれ、もしかして爆弾とか?」


「爆弾ならとっくに爆発してるだろ? 俺、全力で走って来たんだぜ?」


前にテレビドラマで見たことがある。


爆弾は刺激に弱く、揺らしたり叩いたりすると爆発することがあると言っていた。


それが本当かどうかはわからないが、少なくとも海斗は信用していた。


「何が入っているのか確認してないんだろ?」


「うん。そんな時間なかったから、そのままランドセルに入れてきた」


「げぇ。そんなわけわからないもの、学校に持ってくるなよ」


健はまるでこの箱が毒物でもあるかのように舌を出している。


「まだ開けてないんだから、良いものか悪いものかもわからないだろ」


海斗はそう言って小箱を机の上に置いた。