海斗と健は目を見交わせる。


大田も秋田も幼稚園の頃から柔道をやっていて、5年生の中じゃ1位2位を争う体格のいい生徒だ。


2人共クラスが違うから今までイジメの存在に気がつくことができなかったみたいだ。


「もしかして、万引もその2人と関係してる?」


「うん……。昨日掃除をしてたら2人が来てマンガを買ってこいって言われたんだ。だけど僕、お小遣いは500円しかなくて、マンガは600円で……」


それで万引してくるしかないと思ったようだ。


話を聞いた2人は大きく息を吐き出して再びを目を見交わせた。


大田と秋田に逆らえず万引してしまうくらい、飯田くんは追い詰められていたのだ。


万引は悪いことだけれど、それよりも根本的な部分をどうにかしないといけない。


このままじゃ飯田くんはまた万引をして、今度こそ捕まってしまうかも知れない。


そうなっても、きっと大田と秋田の2人はしらを切るに決まっている。


「わかった。俺たちがどうにかしてやる」


海斗はいつもの口調に戻り、指の骨をボキボキと鳴らしたのだった。