ここまで飯田くんが怯えているということは、もうそれしか考えられなかった。


自分たちの知らないところで飯田くんはイジメを受けていて、それで常に怯えるようになってしまったのだ。


飯田くんは唇を引き結んで頷いた。


「まじかよ」


健が目を丸くして呟く。


飯田くんはクラスでおとなしい方だけれど、イジメを受けている印象はなかった。


きっと相手は巧妙にイジメを隠して、人目のない場所で行っていたのだろう。


そう考えると腸が煮えくり返ってくるようだった。


そんな卑劣なヤツがこの学校にいることが許せない。


「それって誰だよ?」


健がすごんだ声で質問すると、飯田くんはまた体を震わせた。


「飯田くん、健は飯田くんをイジメたりしない。他の誰が相手でも、イジメたりはしないよ?」


海斗の言葉に飯田くんはようやく安心したように頷いた。


「大田くんと、秋田くん」


それはとても小さな声だった。