「なんだよ、原因があるからハッキリしろよな」


健にせっつかれて飯田くんはビクリと体を震わせる。


「見てて思ったけど、飯田くんって誰かに怯えてるの?」


海斗の言葉に飯田くんは目を泳がせて、そして小さく頷いた。


やっぱりそうか。


飯田くんのことを昨日から見ていて、常に誰かに、何かに怯えているように見えたのだ。


「それって、誰?」


聞くと飯田くんは左右に首を振った。


ここで相手の名前を出してしまえば、更に怖いことが待っている。


そんな様子が見て取れた。


そのくらい、飯田くんは相手を恐れているのだ。


「もしかして、その相手からずっとイジメられてるとか?」