健は口を尖らせて文句を言う。


しかし、それを海斗に言われてもどうすることもできなかった。


予言の手紙を書いているのは海斗ではないのだから。


「まぁいいじゃん。今日は平和に過ごせるってことで」


「そうだな。ヒーローにも休日が必要だもんな」


2人は階段を上がりながら言う。


教室へ入ろうとしたところで中から飯田くんが出てきた。


2人と視線がぶつかった瞬間、気まずそうにうつむいた。


「おはよう飯田くん」


海斗がいつもの調子で言うと、飯田くんはようやく顔を上げた。


「おはよう……あのさ、昨日のことなんだけど……」


「大丈夫。誰にも言わないから」


海斗のセリフに健はやっぱり不服そうだ。


万引犯を野放しにしているという気持ちがあるのだろう。


だけど海斗は気にしなかった。