海斗がこの家を突き止めて訪れることも、予想していたことだった。


そしてそのときはきっと、もう二度とこんなことをするなと責められるのだと覚悟をしていた。


それなのに、目の前の2人は今笑顔で、ギフトを続けてくれと頼んでくる。


そんな展開想像もしていなくて、不意に笑顔がこぼれた。


「ふふっ」


と笑い、同時に涙が頬を伝う。


「え、ちょっと、大丈夫?」


海斗と健が焦ってハンカチを手渡してくる。


海斗のズボンのポケットに入っていたそれはくしゃくしゃに丸まっていて、また笑ってしまった。


声を上げて笑う。


こんなの久しぶりだった。


誰かを傷つて笑うんじゃない。


ただただ楽しくて、3人でいられることが嬉しくて笑顔が止まらない。


やがて梓の笑い声につられるようにして2人も笑い始めた。


3人分の笑い声はいつまでも屋敷内に響いていたのだった。