学校内での人助けは今まで何度もしてきている。


暗黒ギフトが届くようになる前から、困っている生徒には手を貸すようにしてきた。


きっとその中に梓もいたのだろう。


そう思うと、手助けをしてきてよかったと心から思えた。


「深谷くんならきっと助けてくれると思ったの。だけど、巻き込んじゃったよね。本当にごめんなさい」


梓はベッドに座ったままで深く頭を下げた。


「別に謝らなくても良いよ」


事情がわかればすべて納得できることだった。


今まではわけもわからず走ってきたけれど、これからは梓の気持ち、自分の気持をしっかりと理解した上で行動することができる。


「でも、ここに来たってことは私になにか言いたかったんでしょう?」


そう言われて海斗と健は目を見交わせた。


今回の事故を防ぐことに関してはさすがに物申したいと考えていたところだった。


でも、目の前にいる梓を見るとそんな気持ちもしぼんでいってしまう。


どんなことでも叶えてあげたいと思ってしまう。


「例えばあの黒スーツの人」


海斗はドアの前で待機している男を見て言った。