梓の過去を聞いて海斗と健は深刻な表情を浮かべていた。


梓の言っていることをすべて信じたいと言う気持ち。


しかし、信じきれずにいる自分がもどかしかった。


とにかく目の前にいる梓は未来人ではないということはわかった。


自分たちが誘拐されたり、殺されたりする心配はなくなったわけだ。


それだけでも大きな成果だった。


「それでもやっぱり誰かに伝えて止めてほしくて、こんな回りくどいことをしていたの。ごめんね?」


手を合わせて謝られると弱かった。


特に梓みたいな美少女が小首をかしげてくるのだから「いいよ」と言うしかなかった。


だけど気になることはまだある。


どうして海斗が選ばれたのかだ。


「どうして、俺だったの?」


学校に来られていない梓のことだから、家が近いからとかそういう理由だろうと思っていた。


けれど次に聞いた話しは以外なものだった。