夢の舞台が学校であるとき、必ずといっていいほど悪いことが起こった。


誰かが階段から落ちたり、喧嘩をしてケガをしたり。


最初の頃は学校にあまりいい思い出がないからそんな夢を見るのだと考えていた。


学校の夢を見る度に鮮明になっていき、やがて夢の中に出てくる人間の学年がわかるようになってきた。


そして何時にどこで、その人物がどうなるのかも。


ここまでくるとさすがに怖くなってきて、梓は学校の夢を見るとメモを取るようになった。


この夢はなにか重要なことを知らせているのかもしれないと思ったからだ。


ただ、どれだけ沢山の夢を見ても相手の顔まで見ることはできなかった。


何度も夢の中で相手の顔を確認しようとしたのだけれど、うまくいかない。


なにが悪いのか、梓にもわからなかった。


そしてまた久しぶりに学校へ行った時、梓は夢の内容をクラスメートに伝えた。


イジメ仲間だった1人はそれをちゃんと聞いてくれたが、同時に信じてはくれなかった。


「なに言ってんの梓?」


そう言って大声で笑われてしまったのだ。