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梓が学校を早退しても、しばらく休むことになっても誰もお見舞いには来てくれなかった。


それ所か連絡もひとつもなかった。


梓はベッドに横たわって長い1日をジッとして過ごす。


ランドセルの中には教科書やノートが入りっぱなしで、それを確認する元気もなかった。


目を閉じれば転校生をイジメていたときのことばかりが思い出される。


みんなと一緒に汚い言葉をはいた。


みんなと一緒に転校生の持ち物を壊した。


みんなと一緒に転校生を笑い者にした。


それが仲間だと思っていた。


友達だと思っていた。


だけど誰も今の梓を心配していない。


学校に来なくなった梓のことなんて、みんなどうせもいいのだ。


あんなに笑いあったのに。


あんなに結託したのに、意味のないものだったのだと、梓はようやく理解した。


誰かの悪口を言う人は、自分の悪口だって言っているに決まっているのだ。


そこに友人関係なんて存在しない。