暗黒ギフト1

梓が直接なにかをしたわけじゃないけれど、クラスメートたちが梓をちゃんと認識するようになった。


そして転校生になにかを仕掛けるときには必ず梓も呼ばれるようになったのだ。


こんな風に仲良くしたいわけじゃない。


こんなのは違う。


そう思っていたはずなのに、みんなと一緒に笑い合うことが楽しかった。


ずっとずっと遊びたいと思っていた子と仲良くなることもできた。


気がつけば梓はいつでも誰かと一緒にいた。


もう1人で落書き帳を開くこともない。


時々落書き帳を開いてみると、そこには他のクラスメートと一緒に書いた転校生への罵倒が綴られるようになった。


梓たちはそれをわざと転校生の机の上に広げて置いた。


本人に見せるため。


そして男子たちに気づかせて囃し立てさせるために。


いつしか梓にはイジメ仲間が沢山できた。


1人を犠牲にして、梓は思い通りの日々を手に入れたのだ。


「梓、今日も体育休み?」