暗黒ギフト1

これは土下座だ。


こんなの遊びじゃない。


それでも梓はなにも言えずにただただ泣きじゃくる転校生を見つめていた。


「ごめんなさい」


涙で濡れた声。


それを聞いた瞬間、クラス内にドッと笑いが起こった。


みんな心底楽しそうにしていて、梓には信じられなかった。


これのどこが楽しいんだろう。


どうしてこんなヒドイことができるんだろう。


胸がチクチクと傷んで仕方がなかった。


「よかったね梓。これで許してあげる?」


肩を抱いてそう質問されて、梓はぎこちなく頷いた。


「う、うん」


「そっかー。やっぱり梓は優しいね! よかったなお前!」


いつから自分は梓と呼び捨てにされるようになったんだろう?


梓にはわからなかったが、この日から変わったことは確実だった。