泣きそうになりながら海斗は男を見上げた。


どうしよう、次の言葉が出てこない。


手紙について思いっきり文句を言ってやるつもりでここまで来たのに、勇気はすっかりしぼんでしまっていた。


「深谷海斗さんと西村健さまですね」


以外にも穏やかな声色で男が訪ねてきた。


海斗と健は目を見交わせて「はい」と、同時に頷く。


すると男は表情を緩ませて口元に笑みを浮かべると、「どうぞ」と、2人を屋敷の中に入るように促したのだ。


「えっと……」


健はとまどった声を上げる。


未来人のアジトにそんなに簡単に踏み込んで大丈夫なものだろうか。


玄関先でカタをつけるべきじゃないだろうか。


グルグルと考えている間に海斗は男について門をくぐってしまった。