「なにやってんだあれ」


健の言葉にメガネ女子が「ハト」と短く答えた。


「え!?」


海斗と健の声がかぶさる。


それに驚いてメガネ女子がメガネの奥で目を丸くした。


「ハトがいたみたいだよ? それでみんな給食のパンをあげてるみたい。でもそれがどうしたの? そんなに驚くこと?」


学校内に動物が入り込むことはよくある。


フェンスで囲まれているグラウンドでも、編みの隙間をかいくぐったり土を掘ったりして入ってくるのだ。


今回は空を飛ぶことができるハトだから、侵入するのは簡単だったろう。


だけど2人にとって侵入経路などは問題ではなかった。


問題なのはハトが学校付近まで来ているということだった。


「行こう」


「あぁ」


2人は頷きあい、グラウンドへと走る。


メガネ女子が後ろから「どうしたの!?」と声をかけてきたけれど、誰も返事はしなかった。