☆☆☆

やっぱり大人に相談してもダメだった。


解決してくれる所か信じてもくれなかった。


あやうくいじめられっ子として認識されるところだった海斗は、教室に戻ってから大きく息を吐き出した。


「やっぱり俺たち2人だけでどうにかするしかないんだって」


健に言われてうつむく。


担任に相談しても無理なら、もっと他の先生に相談してみるしかない。


だけど結果は目に見えていた。


きっとさっきの担任と同じようなことを言われて、海斗のことを心配して終わりだ。


それならもっと自分たちのことを信じてくれそうな人に相談しようか。


そう思ってみても、学校内にいる大人は後事務員さんとは保健室の先生だけだ。


いくら考えてみても適任だと思える人物は浮かんでこなかった。


「2人共難しい顔してどうしたの?」


不意に声をかけられて視線を向けると、そこにはメガネ女子がいた。


いつもメガネ女子と心の中で呼んでいるから、名字は覚えていない。


「ちょっと、色々あるんだよ」