担任の言う通り、街でハトを見かけるのは駅前が多かった。


観光客とかが好き勝手にエサをやるので問題になっているらしい。


そして駅から学校までは何キロも離れている。


学校までハトが飛んでくることはなさそうだった。


「それにこんな手紙を何枚も受け取っているとなると、先生は別のことが心配になるな」


担任は今度は海斗と視線をあわせるようにして言った。


それがなにを意味しているのかすぐに理解して、海斗は慌てて左右に首を振った。


「いえ、嫌がらせとかイジメはありません」


早口で否定してうつむく。


自分がイジメられているのではないかと心配されたことが恥ずかしく、また腹立たしかった。


「そうか、それならいいんだけどな」


担任のホッとした様子を確認してから、海斗と健は大股で職員室を出たのだった。