その後、特になにも変わったこともなく時間は経過して、放課後になっていた。


海斗はあの箱のことなんてすっかり忘れて、早く帰ってゲームの続きがしたくてたまらなかった。


今日で最後までいけるかもしれないんだ。


多少時間がかかっても、明日の朝起きられなくても関係なかった。


ランドセルを乱暴にひっつかんで大慌てで教室を飛び出す。


廊下にはまだ誰も出てきていなくて、海斗は一番乗りだった。


そのまま一気に帰宅するつもりだったのに、腕を掴まれて足を止めることになってしまった。


「なんだよ」


文句を言いながら振り返るとそこには健が立っている。


「行かないのか?」


「行くってどこに?」


海斗は一刻も早く家に帰りたくてウズウズしている。


こうして引き止められている間にも生徒たちは次々に教室から出てきて、廊下はあっという間ににぎやかになってきた。