ードッ



口の中で,小さく悲鳴が消えた。

どこか真剣な顔をした風が口を開く。

スッと息を吸った音がして,唇の形がどんどん進んでいく。

そこまで,1秒すらない。

ドキドキしながらそれを見つめていると,それは音になるギリギリのところでふっと消えた。

なっなに言おうとしたんだろ…?!?

私の胸は,死期が早まってしまうと心配になるくらい大きく早く動いている。



「あーごめん。これで許して……」



弱々しく呟かれた言葉。

風は片手を壁につけたまま,ゆっくりと私のあまり広くない肩に頭を乗せた。

許すもなにも,十分過ぎるのですが?!?



「あーはっず」

「えと,ありがと??」

「何で疑問系」

「……なんとなく」



私も同じ気持ちだったから。