「もう12月かぁ」

私、鈴木茉由は窓際から外を見て言った。

外は綺麗な雪景色。

みんな遊んでいる。

もちろん愛奈たちも。

「茉由もこっちおいでよ〜!」

愛奈に手招かれている。

そばのいるのは光輝。

遙もいるのかな。

少し心が揺らいだけど寒いから無理だ。

「俺も無理だな」

隣から声が聞こえて横を向くと。

遙がいた。

「は、遙、なんでいるの?」

「なんでって。寒いのは好きじゃないから」

同じだった。

その日は2人で外で遊んでる愛奈たちを見てた。



「ねぇ!クリスマスパーティーしよ!」

昼休憩になった時、愛奈はそう言った。

クラスの人たちはもちろん賛成。

夏の海のメンバーでいこうということだから、遙も光輝も来るらしい。

日程を決めたあと、私は愛奈に呼ばれた。

「どうしたの?」

「茉由!告白するチャンスだよ!」

心臓が止まるかと思った。

告白はできない。そう諦めていたから。

やっぱり私たちは兄弟。遙もそう思ってる。

「いや、私は無理だよ」

「……。茉由、諦めちゃうの?」

諦めたくない。

遙のそばにいたい。

でもそれは兄弟という関係で十分だ。

だけど……。

「……諦めたくはない」

思わずそう言っていた。

その言葉をもちろん愛奈は逃さない。

「私がチャンス作るから!告白じゃなくても話しなよ!」

「わかった。ありがとう、愛奈!」



意外と時間が経つのは早かった。

あっという間に終業式が終わり、みんなはカラオケに集まる。

「クリスマスパーティーの始まりだー!」

それぞれ10人くらいに分かれて部屋に入った。

私は愛奈と遙と光輝たちと部屋に入った。

しかも遙と隣にしてくれたらしい。

嬉しいけど緊張する。

「茉由、大丈夫か?」

下を向いていたせいで心配された。

「だ、大丈夫。それよりも遙は歌うの?」

「光輝と一緒に歌うらしい」

そう言って険しい顔をしたから思わず笑ってしまった。



何回か歌っていると愛奈に呼び出された。

「茉由、ここにいてね!連れてくるから!」

「え、きゅ、急に?」

「大丈夫だって!話すだけでもいいから!」

そう言ってすぐに戻っていった。

緊張するなぁ。

そうのんびり待とうとしていた時。

「ど、どうした?大丈夫か?」

そう声が聞こえた。

愛奈が呼んできてから1分も経ってない。

「だ、大丈夫だけど」

「よかった……」

「愛奈に何って言われたの?」

「いや、茉由が呼んでるから行ってって」

その一言だけできてくれたんだ。

あんなに急いで。

顔が赤くなっていく。

「茉由、大丈夫か?顔が赤いけど」

鈍感……。

今なら言えるかな。

ちゃんと言えるかわからないけど。

「遙」

「どうした?」

心配そうに聞いてくれてる。

「好き」

「え?」

「遙が好き」

遙は呆然としている。

「それは恋愛の好き?それとも兄弟の?」

「れ、恋愛」

そう言ってから答えがこない。

無理、かな。

泣くのは後でいい。

「ご、ごめんね。こんなこといって」

そう言っても返事はこない。

走って逃げようとした時だった。

「待って!」

気づくと遙の腕の中にいた。