超至近距離で見つめられ、思わずフリーズする。
鼻と鼻がくっつきそうなくらい近い。
赤坂さんが牽制したのにも関わらず、なにも臆さずわたしに話しかけてくる彼の正体はまったくわからない。
茶髪のストレートの髪が揺れ、猫目の彼は首を傾げる。
き、距離感バグ……っ!
その動作に目が釘付けになるも、急に近さの実感が湧いて、我に返ってぱっと距離をとる。
わたしの反応にきょとんとしていた猫目の彼は、自分の行いに気づいたのか、くすっと笑った。
こ、この人、なんかちょっと不思議だ……。
「おーい、どうしたの。聞こえてる?」
どうやら驚きで返事をするのを忘れてしまっていたみたいで、目の前の彼はわたしにひらひらと手を振っている。
焦ってさきほどの彼の言葉を思い出す。
『きみ、美六クンの彼女なの?』
美六、って確か、赤坂さんの下の名前だよね。
わたしが赤坂さんの彼女だなんてありえないのに、たいへんな勘違いをしているみたい。



