メルティ・ナイト




きっと、わたし自身がこの瞳を否定したら、祖母のことも否定することになってしまう。

そう思ったから、いまは深くは考えないようにしている。



────『すずかのその髪も、その瞳もぜんぶ大っ嫌い!!』



もう、逃げたことは忘れたいから。




「別に碧色だから綺麗って言ったんじゃねえよ」



黙り込んでしまったわたしに、見かねた茉央さんがそう言った。

なにか事情があると踏まれたのか否か、彼の言葉の続きはどんな戯言よりも心に響いたのだ。



「すずかは心が綺麗な瞳をしてる」



思わずじっと彼を見つめてしまう。

じーんと心が温まったのは事実だけれど、それよりもなんだか告白みたいでふっと笑ってしまい、慌てて取り繕う。


「そんなの、はじめて言われました……。照れますね」