小学生のとき。
わたしはすごく、“普通”に固執していた。
『すずかちゃんって、みんなと目の色ちがうね』
日本のこの社会で、クウォーターというのはとてもじゃないけど普通ではなくて。
瞳の色がみんなとちがうことが、なんだか他の子と同じ輪から弾かれているみたいで怖かった。
もちろん、保育園の頃はマオちゃんがそばにいたから、そんなことは考えていなかった。
彼女はわたしのこの瞳について触れなかったし、なにも言わなかったと思う。
まだ幼くて、他人と違うことにあまり関心がなかったからかもしれないけれど、あの頃は彼女のそばにいるだけで守られている気がしていたのだ。
小学生、中学生、高校生になる過程で、傷つく言葉は何度か投げかけられた。
でもそれだけでなく、茉央さんみたいに褒めてくれる人もいた。



