貴一の車で市役所まで行き、なんだかドキドキしながら婚姻届を提出すると、受付の人は、

「受理しました。駐車券はお持ちですか?」

結婚であろうと、他の手続きと全く同じ対応だ。

たった今、私は貴一の妻になった。

まるで実感はないのだが。

「明菜、今日やることはまだ沢山あるよ」

貴一はメモを見ながら、

「住民票だけど、新居はとりあえず明菜の家でもいいかな?広い家だし、何かあればすぐ、うちの両親にSOS出せるし。舅や姑がすぐ隣なのが嫌なら、部屋もすぐに探すけど…」

「嫌じゃない!むしろ良かったと思ってる。それにしても、こんな突然の結婚、ご両親もよく許したね」

「相手が明菜だからじゃないか?それに、うちの親は俺の意思を尊重してくれるタイプだから、大学やめて床屋になりたいと言ったときも、本当にやりたいなら好きにしろって」