そんな風に、人に恵まれた私だから、もし「幸せ?」と誰かに聞かれたなら、90%幸せだと答えるだろう。

じゃあ、残りの10%は?

これまで、一度も恋人がいないことだろうか。

情けないけれど、もう10年以上、親友の貴一に片想いをしている。

私の青春時代の恋のメモリーは、彼氏でもなんでもない、親友の貴一で埋めつくされていた。

昔から、私たちは「付き合っているの?」と周りからいつも誤解されてきたし、時折、もしかして相思相愛なのかな…と思う瞬間もあり、人づてに貴一が私を好きだという噂も耳にしたことだって、何度もある。

でも、貴一の口からは一度も聞いたことがない。

貴一が私をいつも大切にしてくれているのは、友情?同情?それとも…?

こんなに近くに居て、誰より互いをわかり合える相手なのに、貴一が私をどう思っているのかだけは見えないなんて…。