【side 星蘭】



あたしには、世界で一番嫌いなやつがいる。

実の姉である、双葉鈴蘭。

二卵性の双子であるあたしたち。お母さん似のあたしと、お父さん似の姉。

お父さんは絶世の美男だったらしく、その血が濃かった鈴蘭は、どこに行っても美人と言われる見た目に育ってしまった。

お母さん似だからあたしが可愛がられていることはわかっているけど、あたしだってできることならお父さん似に生まれたかった。

鈴蘭のあの顔が……羨ましくて、憎い。

唯一得をしたことといえば、両親があたしだけを可愛がること。

お母さんは前のお父さんのことを憎んでいるから、鈴蘭の顔を見たくもないと言っているし、お母さんに惚れ込んでいるお父さんも、鈴蘭のことを嫌っている。

だから、家はあたしにとって天国だ。

お母さんは鈴蘭には最低限のものしか与えない。

日用品も、美容品も、食事も……。