だから、ルイスさんに婚約を解消しようと言われたら、私はどうすることもできないんだ。



「……そうね、こんなどうしようもない子、すぐに飽きられるわ。星蘭のような、愛嬌のある可愛い子のほうがいいに決まってるものね」

「ふふっ、そうよね」



ふたりが、勝ち誇った表情で私を見ている。



「きっとルイス様も、あたしの魅力に気づくわ」



……怖い。

お母さんに殴られることよりも、星蘭に噂を流されることよりも……今はルイスさんに嫌われてしまうことが、一番怖かった。



「絶対に奪ってやるんだから……」



星蘭は、私を見下ろしながら口角を上げた。



「あんたはあたしの引き立て役になるためだけに生まれてきたのよ、覚えておきなさい」



神様がもしいるのなら、私のお願いを、ひとつだけ聞いてもらいたい。

どうか……ルイスさんのそばに、いさせてほしい。

ルイスさんを失うことを考えるだけで、堪えていた涙が溢れた。