え……。

お母さんのものと思われるそれに、体がこわばる。

私に対してお母さんが怒るのはいつものことだけれど、ここまで怒りをあらわにしているのを見るのは久しぶりだった。

声だけで、激怒しているのがわかる。

どう、しよう……私、何かしたのかな……?

思い返しても、お母さんが怒るようなことは……記憶にない。

今日も部屋を綺麗にして家を出たし、言われていた買い出しも済ませた。

お母さんに言われた通りテレビ番組の録画もしたし、ご飯も夕飯に炊けるようにセットしておいた。

心当たりがなくて、不安は増すばかり。



「聞こえてるんでしょ!! 早く来なさい!!」



再び扉越しに大きな声が聞こえて、ハッとした。



「は、はい」



ひどく震えはじめた手で、ドアノブを握る。