出来損ないで、誰にも必要とされなかった。

そんな私でも……この人は、好きでいてくれるの、かな……。



「ああ。俺は手に入れたものは大事にする性分だ。安心しろ」



ふっと、優しい笑みを浮かべた白神さん。



「お前のことを大切にすると約束する。だから……俺の手をとってくれ」



私の世界が、一瞬にして色づいた気がした。

子供の頃、一番好きな小説はシンデレラだった。

いつかかぼちゃの馬車が現れて、王子様のもとへ連れていってくれる……なんて素敵な物語なんだろうと思った。

私には、王子様は現れないんだと思っていたのに……。

まさか……こんな夢みたいなことが、自分の身に起きるなんて……。

誰かに求められることが、こんなにも、嬉しいなんて……。



「は、い……」



星蘭の言いつけも忘れるほど、幸福感で満たされて、何も考えず頷いてしまった。

ただ、とても幸せだった。