魔王子さま、ご執心!① ~捨てられ少女は、極上の男に溺愛される~

今からフードさんに会うんだから、こんな情けない顔をしていちゃいけない。

フードさんには、余計な心配はかけたくない。優しい人だから……。



「お、お待たせしました……!」



ルイスさんと話していたから、いつもよりも待たせてしまった。

少し見慣れてきた、フードさんがベンチに座って待ってくれている光景。

私はいつも通り、笑顔で隣に座る。



「鈴蘭?」



名前を呼ばれてフードさんを見ると、何か言いたげな様子に見えた。

相変わらず表情はわからないから、気のせいかもしれないけど。



「何かあったか?」



え?



「ど、どうしてですか? いつも通りですよ……?」

「浮かない顔をしている」



嘘……。いつも通り、笑えているはずなのに。