魔王子さま、ご執心!① ~捨てられ少女は、極上の男に溺愛される~

ハッと我に返って、言葉を飲み込む。

余計なことを言ったらダメだ……。



「し、失礼します……!」

「あ、おい……!!」



これ以上ルイスさんと一緒にいたら、変なことを口走ってしまいそうで……私は逃げるように走りだした。







私は……こんなにも未練がましい人間だったんだ……。

ルイスさんの目、まるで仇を見るみたいだった。

あそこまで憎悪を向けられて、それでもまだ……あの時の優しいルイスさんを忘れられない。

あの人は、初めて私を「好き」と言ってくれた。

でも、もうルイスさんは星蘭の婚約者。いい加減、忘れなきゃ……。

こんな感情は、不毛だ。


溢れそうになった涙を堪えるように、下唇を噛みしめた。

深呼吸をしてから、頬を2回叩く。