魔王子さま、ご執心!① ~捨てられ少女は、極上の男に溺愛される~

自分の頬を、パチパチと叩く。

悲しいからって、落ち込まない。落ち込んでいても、何も変わらないから。

大丈夫、ひとりでも平気。

空を見上げると、雲ひとつない青空が広がっている。

綺麗……こんなに綺麗な空を見上げられるだけで、私は十分幸せものだ。

……そうだ、あとで図書室に行ってみよう。

きっと今日は、入学式のお祝いで星蘭とお母さんとお父さんでご飯に行っているだろうから、多少、私の帰りが遅くなっても大丈夫。

宿題があるわけでもないし、時間はあるから……図書室にこもろう。

本は、私の唯一の友達。

私にとって、読書をしている時間は一番幸せな時間。

こんなに立派な学園だから……きっと図書室も広くて、蔵書も充実しているだろうなぁ……。

楽しみで、想像するだけで胸が踊った。

よし、行ってみよう。

そう思って立ち上がって、振り返った時だった。



「……あっ」