魔王子さま、ご執心!① ~捨てられ少女は、極上の男に溺愛される~

この学園には、独自の婚約制度がある。だが、そんな学内でしか意味のない婚約など、俺が結ぶはずがない。



「正式に、鈴蘭を俺の婚約者にする」



そうすれば……理由がなくとも鈴蘭のそばにいれるだろう。

鈴蘭をノワールに転級させて……四六時中そばにいればいい。

どうしてそんなことも思いつかなかったんだ……鈴蘭に出会えたことに浮かれて、まともな思考もできなくなっていた。



「え? 正式って……学園の制度じゃなく?」

「黒闇神家の婚約者として、公表するってことですか⁉︎」



ふたりに返事をするのも面倒で、竜牙のほうを見る。



「竜牙、婚約の準備を進めろ」



いずれは妻に迎えたいと思った相手だ。婚約してしまえば、鈴蘭に群がる男もいなくなるだろう。