魔王子さま、ご執心!① ~捨てられ少女は、極上の男に溺愛される~




「他の人間なら、もっと喜ぶはずだ……」



苦しそうな声色に、パチパチと瞬きを繰り返す。

それは、もしかして……。



「喜ばせようと、してくれているんですか……?」

「ああ」



半信半疑だった。自意識過剰だったかもしれないと後悔したけど、フードさんはさも当たり前かのように返事をくれる。

そんな……。

どうして、私なんかを……。

わからないけど……フードさんの気持ちが、とっても嬉しい。

そ、そっか……そっか……。

私を喜ばせようとしてくれていたんだ……。



「あ、ありがとうございます」



嬉しくてたまらないのに、そんなありきたりなお礼の言葉しか出てこない。

溢れそうになった涙を堪えるように、下唇を噛んだ。



「考えてみても、いいですか……?」