よく見ると、後ろにはラフさんの姿もあった。
ふたりも私に気づいたのか、こっちを見てくれた。
「あ、あの、こんにちは……!」
笑顔で駆け寄って、頭を下げる。
会えると思っていなかったから……すごく、嬉しい……。
「今日はどうしたんですか……?」
「お前に会いにきた」
「え……」
「昨日は流されたからな。ラフを助けた礼をさせろ」
お礼……。
「あの、お礼なんて本当にいりません……」
昨日一緒に過ごしてもらっただけで、十分すぎるくらいのお礼だったのに……。
じいっと、私を見ていると思うフードさん。
“思う”というのは、相変わらずフードを深くかぶっていて、顔が見えないから。
『ご主人……! 鈴蘭様が困っています……!』

