魔王子さま、ご執心!① ~捨てられ少女は、極上の男に溺愛される~



よく見ると、後ろにはラフさんの姿もあった。

ふたりも私に気づいたのか、こっちを見てくれた。



「あ、あの、こんにちは……!」



笑顔で駆け寄って、頭を下げる。

会えると思っていなかったから……すごく、嬉しい……。



「今日はどうしたんですか……?」

「お前に会いにきた」

「え……」

「昨日は流されたからな。ラフを助けた礼をさせろ」



お礼……。



「あの、お礼なんて本当にいりません……」



昨日一緒に過ごしてもらっただけで、十分すぎるくらいのお礼だったのに……。

じいっと、私を見ていると思うフードさん。

“思う”というのは、相変わらずフードを深くかぶっていて、顔が見えないから。



『ご主人……! 鈴蘭様が困っています……!』